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風立ちぬ

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 * 堀辰雄の「風立ちぬ」
 この作品の文章が持つ音楽性ということを考える。音楽性というと言葉が保つ音そのもの音韻的なこ とと思われがちだが、堀辰雄の音楽性はむしろ音楽的な構造なの だ。音楽の形式を小説を構成するのに援用した。その形式が古典派のものなのかロマン派のもの なのかは私には判らないが、「風立ちぬ」には音楽的な何かを感じる。流れてゆく旋律のなかに表れる主題、変奏、余韻といったこと。例えば「春」の第三節の 冒頭数行は前節を受けていて、前節が奏でていた音色の最後の余韻、ピアノのキィを叩いて指をキィから離しても暫くは空間に漂っている響きのようだ。
 このような日本語の文章表現は現在どこに継承されているのだろう。

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