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戦艦大和

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 * 吉田満の「戦艦大和の最期」
 「戦艦大和の最期」とその吉田氏と同期の別人が書いた文章とを持っていらした方があった。「電探 室被弾」の項を読まれた。大和が魚雷攻撃を受ける場面だが、どうしても読みに力が入り過ぎてしまう。危機的状況が描かれているので、その切迫感が感情移入 されてしまう。すると、大本営発表か北朝鮮アナウンサーのニュースの読み方のように聞こえてしまう。
 記録文は客観的に冷静に音声表現したい。
 アジテーションというのは、言語の音声表現が持つ力の悪用に繋がる。
 音声表現された言語は、文字だけを黙読した場合よりずっと強く情動に働きかける。煽動出来る。
 危機的状況であるからこそ、余計な感情の振幅を避けようとして、作者は硬質の漢文読み下し調を使っているのだろう。人は、ギリギリの状況に追い込まれると、反って冷静に周囲の全てを認知する能力を持たされているらしい。物理的には同じ一秒が何倍にも感じられる程に。だから、このような記録が残せた。記憶を辿った時に、鮮明に蘇るだけ認知出来ていた、と言う事。

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