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かささぎ

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 * 川端康成の「かささぎ」
 文字を上手に音声化して読む事が大事なのではない。書かれていないことをどれだけ想像して読める かが大事なのだ。「洋画家」という言葉が書かれている時、その人物がどんな服を着ているか、何歳くらいの人か、なぜ会話の途中で急に立っていってしまうの か。それを考えながら音声化を進めて欲しい。まず第一に「かささぎ」という題名を「カササギ」でもなく「鵲」でもなく「かささぎ」にしてあるのは何故だろ うかと考えて欲しい。正解など見つからないとしても、他に書き表わす文字が有る中で書き手がこの表記の仕方を選んだその行為には、書き手の意志が働いてい るのだから。
 書き手が書かなかった行間を読み手の想像で埋め尽くす、そこから朗読が始まる。行間を読み取ろうとすると、読み手の経験が反映されざるを得ない。だが一人 の人間の実人生の経験など多寡が知れている。実人生では得られない経験は「追体験」という形で補う。読書で、映画で、演劇で、とても私一人の人生では経験 出来ない様々な人間の有り様を知っておくことが、行間を読む手助けになる。

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